海外現地便り Vol.3-ロンドン-

ビジネスチャンスを求めて英国へ 外国人は「ロンドン」をお買い物

特派員M(26)
ロンドンのおすすめの場所:
シティ・オブ・ロンドンの街並み
好きな休日の過ごし方:
ストリートマーケットめぐり

ロンドンの観光名所といえば、みなさんはどんな場所を思い浮かべるでしょうか?

ビッグベンやバッキンガム宮殿、タワーブリッジ…。そして買い物好きな女性たちに人気の老舗デパート「ハロッズ」。

ハロッズはかつて王室御用達だった 世界的に有名なデパートです。今なおイギリスの代表的な観光スポットですが、実は、現在のオーナーは中東の産油国カタールの会社です。また、最近出来たばかりの新名所「ザ・シャード」。テムズ川向かいにそびえ立つ、地上87階建てのこの超高層ビルは、現在ヨーロッパで一番高いビルとしても有名です。オシャレなイギリス人の新たなデートスポットとしても人気ですが、こちらのビルのオーナーもカタールの会社です。

ザ・シャードからテムズ川の対岸を見ると金融ビジネスの中心地、シティ・オブ・ロンドンの街並みが見えます。一際目立つのは頭の尖ったガラス張りの筒状のビル、その見た目からついた愛称はキュウリの種類のひとつ「ガーキン」。こちらのオーナーはブラジルの会社です。

ロンドンは観光地としてだけではなく、ビジネスにおける投資先としても大人気です。「シティ」はセントポール大聖堂やイングランド銀行に代表されるような古い建物の残る金融街でした。しかし、昨今のビジネス需要に応えるように、先に挙げたような近代的なビルの建設も活発になり、この数年で景観も大きく変わりました。潤沢な外国からの資金によって住宅価格も上昇を続けており、世界金融危機前の水準を超えるほどになっています。

英国の住宅価格の推移(月次データ:2004年~2014年)
出所:英国国家統計局(Office for National Statistics)のデータを基に東海東京証券ヨーロッパ作成
新名所「ザ・シャード」

ロンドンの力強い経済力に世界中から注目が集まっており、新たなビジネスの可能性を探して多くの外国人が集まってきています。また活況な市場は不動産だけではなく、株式市場においても海外からの投資が増えています。今では外国人投資家比率は5割を超えています。

日常生活においても外国人の存在感は大きくなっています。ロンドン市庁によると、年間約20万人もの移民がロンドンに流入しているとのことです。現在、私自身も「外国人」のひとりとしてロンドンに住んでいますが、街中で耳にする言語も英語以外の方がずっと多いように感じます。ハロッズに面した通りにはたくさんの中東系レストランが並んでおり、店先で人々が「シーシャ(中東で人気の水タバコ)」を楽しむ光景にもすっかり慣れました。

英国上場株式に対する外国人株主シェア(年次データ:1998年~2012年)
出所:英国国家統計局(Office for National Statistics)のデータを基に東海東京証券ヨーロッパ作成

女王のもと、古き伝統を守る国、というイメージの強い英国。しかし、今のロンドンはその経済力の強さから独自の進化を遂げています。新旧そして東西の文化融合が楽しめるのも、ロンドン滞在のひとつの醍醐味です。インドカレーをアレンジした「チキン・ティッカ・マサラ」は、いまではすっかりロンドン市民に親しまれています。英国名物といえば「フィッシュ・アンド・チップス」ですが、ロンドンにお越しの際には、日本ではなかなか食べられないような本格的なインド料理や中東料理を味わってみるのもいかがでしょうか?

建設中クレーンが立ち並ぶロンドン市内中心部
2015年1月29日時点

乙女の気になることば

「外国人投資家」とは?
その株式市場が存在する国以外の国籍の、個人や企業などの投資家。日本の株式市場においても、外国人投資家の比率は高く、欧州の年金基金や中国の政府系ファンドといった巨額の資産を運用する投資家が多いため、株式市場への影響力は高い。