為替為替を動かすのは?

ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)、金利差、政治、天変地異、戦争、
テロなど……。為替を動かす要因はさまざまです。どんなことで為替が変動するのか、
主な要因を知っておきましょう。

需要と供給

円を売りたいと思う人が増えれば円安になり、円を買いたいと思う人が増えれば円高になります。

なぜその通貨を売りたいと思う人が増えるのか(減るのか)、買いたいと思う人が増えるのか(減るのか)を分析する視点が必要です。

国際収支の黒字額に注目

国際収支とは1つの国が行なう外国との様々な経済取引(モノ・サービスの取引、お金の取引、お金の送金、証券の取引など)をまとめたものです。日本の国際収支統計は日本銀行がまとめており、日本銀行のホームページで詳しい説明と統計資料を読むことができます。
「国際収支」の黒字額が現在大きい国や地域(現在稼いでいる国や地域)、または国際収支の黒字額がこれから大きくなりそうな国や地域(これから成長しそうな国)の通貨が買われます。

貿易収支&サービス収支と為替

貿易収支とサービス収支の黒字額が大きくなるということは、外国でモノやサービスを売った対価としての外貨の受け取りが増えるということです。外貨を受け取って円を買うケースが増えるため、円高が進みます。逆に、貿易収支とサービスの収支の赤字額が大きくなると円安が進みます。

資本収支(投資収支)と為替

外国の人が、日本の株式や債券などの金融商品を買いたいと思った場合、持っている通貨を日本円に換えてから投資しなければなりません。逆に、日本人が海外の株式などを買う場合には、持っている円を外貨に換えてから投資する必要があります。つまり、日本人が海外に投資する金額よりも、外国人が日本に投資する金額の方が大きければ、投資収支は黒字になります。ドルなどの外貨を売って円を買う人が増えるため、円高が進みます。逆に資本収支の赤字額が大きくなると円安が進みます。

金利が高い国の通貨が買われる

金利が高い国や地域の通貨は買われ、金利が低い国や地域の通貨は売られます。たとえば、日本の中央銀行である日本銀行は、景気が過熱してくると政策金利を引き上げます。政策金利を引き上げると、その国全体の金利も上がります。
金利が高い国や地域では、預金の金利も債券の金利なども高いので、金利が低い国の金融商品に投資するよりは金利が高い国に投資する方が利益が多くなります。
そのため、国と国の間の金利差が広がると、金利が低い国の通貨を売り金利が高い国の通貨を買って投資をする人が増えます。すると、金利が低い国の通貨は安くなり、金利が高い国の通貨は高くなります。

景気が良い国の通貨が買われる

景気が良い国や地域の通貨は買われ、景気が悪い国や地域の通貨は売られます。
金利差とも関連していますが、景気が良い国は景気が過熱しすぎないように政策金利が引き上げられるため、景気の良い国の通貨は高くなり、景気が悪い国の通貨は安くなります。
他の意味でも、景気は為替レートと関係しています。景気が良い(つまり経済が成長している)と、その国には投資のチャンスがたくさんあります。その国に投資をするためには手持ちの通貨をその国の通貨に換える必要があります。結果として、景気の良い国の通貨は高くなり、景気が悪い国の通貨は安くなるといわれています。

政局も為替に影響する

政権交代があった場合は、これからの見通し(経済成長するのかどうかなど)がつかなくなってしまうため、先が読めないことを嫌がって、投資家がそれまで投資していた資金をひきあげてしまうことがあります。すると、当然その国の通貨は売られて安くなります。
しかし、これまでの政権による政治が経済状態を悪化させていたような場合には、逆にこれからは経済がもっと良くなるのではないかと考えられるので、その国の通貨は買われて高くなることもあります。

為替が高くなるのか安くなるのか一様にはいえませんが、政治関連のニュースをチェックしておく必要はあるでしょう。

天変地異、戦争、テロなど……

地震や干ばつなどの大きな天変地異が起こると、その国の経済状態は悪くなるリスクが高まります。そのため、その国の通貨は売られて安くなることがあります。
戦争が起こると、お金を安全なところに避難させようとする動きが活発になります。永世中立国であるスイスフランが買われたり、大国であるアメリカドルが買われたりします。何か危機的なことが起こった場合にドルを買うことを「有事のドル買い」といいますが、最近では必ずしも有事にドルが買われるとはいえなくなってきました。