株式チャートの基礎の基礎

(株価)チャートとは「過去の相場の動きを記したグラフ」です。チャートは、テクニカル分析の必需品です。投資初心者の方はとりあえずチャートの基本構成である「ローソク足」と「移動平均線」を覚え、「トレンド」の見方を勉強しましょう。

ローソク足

ローソク足とはローソクに似た形の棒で、株価の動きを表したものです。ローソク足は1本だけを見てもあまり意味がありません。前後のローソク足と合わせて見ることによって、相場の転換点や上昇するのか下落するのかなどを予測することができます。

陽線(ようせん)と陰線(いんせん)

始値より終値が高いときは白い胴体で表します。始値より終値が安いときは黒い胴体で表します。胴体の上下にのびている線を「ヒゲ」とよびます。

日足、週足、月足

1日の間の動きを1本のローソク足で示したものを「日足(ひあし)」といい、1週間の動きを1本のローソク足で示したものを「週足(しゅうあし)」、1ヶ月の動きを1本のローソク足で示したものを「月足(つきあし)」といいます。

ローソク足にはいろいろな形があります。たとえば、三段目の一番左は、始値、高値、安値、終値が全て同じ値段だった場合のローソク足です。左から2番目は始値と終値が同じ値段だった場合のローソク足です。

ローソク足の形状にはそれぞれ名前が付いています。
詳しく知りたい方は「参考:ローソク足の組み合わせ」をご覧ください。

移動平均線

移動平均線とは、ある一定期間の株価の平均値をグラフ化したものです。
例えば、直近5日間の終値を合計しそれを5で割ると、5日移動平均が算出できます。5日移動平均をつないでいくと、5日移動平均線を描くことができます。

  • * このチャートは週足です。13週移動平均線と26週移動平均線を表示しています。

移動平均線を使って、株価を分析してみよう

トレンドをみる

株価の大まかな方向性を「トレンド」と呼びます。移動平均線が右肩上がりのときに上昇トレンド、右肩下がりのときに下降トレンドと判断します。通常、上昇トレンドのときは「買い」、下降トレンドのときは「売り」です。

売り時と買い時をみる

期間の短い移動平均線と期間の長い移動平均線の2つを使って、売り時と買い時をみることができます。例えば13週移動平均線と26週移動平均線を使う場合、13週移動平均線が26週移動平均線を下から上に交差した状態をゴールデンクロスとよびます。逆に13週移動平均線を26週移動平均線が上から下に交差した場合をデッドクロスとよびます。一般的にゴールデンクロスは「買い時」、デッドクロスは「売り時」といわれています。

平均買いコストをみる

ローソク足(株価)と、移動平均線の位置関係をみます。
移動平均線は、投資家がその期間に株式を平均いくらで買ったかを表しています。例えば、株価が25日移動平均線を下回っている場合は、直近25日間に購入した人が含み損(評価損)を抱えていることになります。株価が上昇して25日移動平均線に近づくと、心理的に売り注文が出やすくなる傾向があります。

また一般的に、株価が移動平均線から離れすぎると「今の株価は高すぎる(安すぎる)のでは」と投資家の心理に影響を与え、株価と移動平均線の差が縮まる習性をもっています。たとえば、上昇トレンドのときには、株価と移動平均線が離れたり接近したりしながら上昇していくのです。

  • * 週次の終値を折れ線グラフで表示しています。

トレンドライン

トレンドを判断するために、トレンドラインという補助線を使うことがあります。

上昇トレンド→下値支持線

上昇トレンドのときは、安値と安値を結んで、トレンドラインを引きます。右肩上がりのトレンドラインに支えられる形で株価が上昇していくため、下値支持線(この線の近くまで株価が下がると急に上昇に転じる線)になります。

下降トレンド→上値抵抗線

下降トレンドのときは、高値と高値を結んだ線を引きます。右肩下がりのトレンドラインに押し戻される形で株価が下落していくため、上値抵抗線(この線の近くまで株価が上がると急に下落に転じる線)になります。

通常、上昇トレンドのときが「買い」、下降トレンドのときは「売り」です。ただし、トレンドはいつまでも続くわけではありません。株価がトレンドラインを上から下に、あるいは下から上に突破した場合には、トレンドが転換する可能性が高くなるので注意しましょう。

  • * 証券会社によっては、口座を開設しているお客様にリアルタイムの株価やチャートが見られるサービスを行っているところもあります。証券会社に口座を開設していない方は、「yahoo!ファイナンス」や「マネー&マーケット」を活用してみましょう。

参考:ローソク足の組み合わせ

前後のローソク足を見ることによって、相場の転換点や上昇するのか下降するのかなどを予測することができます。

なお、「ステップアップするために」でご説明した通り、チャートだけを見るのではなく、その他の判断材料も合わせて確認しましょう。

ローソク足 呼び名 意味
陽の丸坊主
(大陽線)
始値=安値、終値=高値の長いローソク足。
陰の丸坊主
(大陰線)
始値=高値、終値=安値の長いローソク足。
カラカサ
(下影陽線)
長い下ヒゲがあり、胴体が短いローソク足。一時、始値よりかなり下げたものの、終値は始値より高く終わっているということ。
カラカサ
(下影陰線)
長い下ヒゲがあり、胴体が短いローソク足。一時、始値よりかなり下げ、取引終了時にはだいぶ戻したものの、終値は始値を上回らなかったということ。
十字線
(寄引同事線)
始値=終値であり、さほど値動きがなかったということ。転換を暗示している線。
最後の抱き線 (1)の陽線(白い胴体)を完全におおい(2)の陰線(黒い胴体)が出た状態。上昇傾向が続いており株価が高い状態でこの陰線が出ると、上昇傾向がそろそろ終わることを暗示している。
抱きの一本立ち (1)の陰線(黒い胴体)を完全におおい(2)の陽線(白い胴体)が出た状態。下降傾向が続いており株価が低い状態でこの陽線が出ると、下降傾向がそろそろ終わることを暗示している。
はらみ寄せ線 (1)の線(ローソク足)の範囲内で(2)の四本値(始値、高値、安値、終値)が形成されている状態。このように2本目のローソク足が十字線の場合は、流れが転換することを暗示している。
はらみ寄せ線 (1)の線(ローソク足)の範囲内で(2)の四本値(始値、高値、安値、終値)が形成されている状態。このように2本目のローソク足が十字線の場合は、流れが転換することを暗示している。
(1)の長い陽線(白い胴体)よりも(2)の始値が高くなり、(1)の高値よりも株価が下がらず、空(くう)がある状態。伸び悩みを暗示している。
(1)の長い陽線(白い胴体)よりも(2)の始値が高くなり、(1)の高値よりも株価が下がらず、空(くう)がある状態。伸び悩みを暗示している。
雨だれ (1)の長い陰線(黒い胴体)よりも(2)の始値が低くなり、(1)の安値よりも株価が上がらず、空(くう)がある状態。これまでの下降傾向がそろそろ止まりそうな暗示。
出会い線 (2)は(1)よりもだいぶ高い値段で取引が始まったものの、終値は(1)の始値と同じ水準になってしまった状態。これまでの方向性に変化がありそうな暗示。
首つり線 これまで長らく上昇を継続しており、(4)はさらに高い値段で始まったが、利益確定売りが出て、その後押し目買いが入り、(3)よりも高い値段で終わった状態。このタイミングでは買わない方が良いという暗示。
三川
宵の明星
(さんせんよいのみょうじょう)
これまで上昇傾向が続いてきており、(2)は高い値段で取引が開始したが、上げ幅が大きくならず、(3)は下落した状態。このタイミングでは売った方が良いという暗示。
三川
上放れ二羽烏
(さんせんうわばなれにわがらす)
これまで上昇傾向が続いてきており、(2)は高い値段で取引が開始したがその後下げて終わり、(3)も高い値段で取引が開始したものの、(2)の終値よりさらに低く終わった状態。このタイミングでは売った方が良いという暗示。
三川
宵の十字星
(さんせんよいのじゅうじせい)
(2)は高い値段で始まり、始値と終値が同じで値動きが少なく、(3)は下落した状態。このタイミングでは売った方が良いという暗示。
三川
明けの明星
(さんせんあけのみょうじょう)
これまで下降傾向が続いてきており、(2)は低い値段で始まり、少しだけ上昇して終わり、(3)は急上昇した状態。下降傾向は終わり、これから上昇するという暗示。
三空
踏み上げ
(さんくうふみあげ)
3日連続で前日よりも高い値段で取引が始まり、上昇して終わっている状態。もし(4)のローソク足の翌日に下げ、前日の陽線(白い胴体)の中の水準で取引が終了したら、売った方が良いタイミング(*)。

*日足の場合です。
週足なら3週連続、月足なら3ヶ月連続ということです。

三空
叩き込み
(さんくうたたきこみ)
3日連続で前日よりも低い値段で取引が始まり、下落して終わっている状態。そろそろ下降傾向が止まり、上昇に転じる可能性が高いという暗示(*)。

*日足の場合です。
週足なら3週連続、月足なら3ヶ月連続ということです。

三羽烏
(さんばがらす)
これまで上昇傾向にあり、その天井(一番高い水準)付近にこのような陰線(黒い胴体)が出ている状態。これから下げる可能性がり、不吉なのでカラスに例えられる。