Part2長期投資と上手に付き合おう

ドルコスト平均法による積立投資

ドルコスト平均法とは、価格が変動する商品を毎月一定額で継続的に購入する投資手法です。購入金額を一定に保つことで、価格が高いときには購入量を少なくし、反対に価格が低いときには購入量を多くすることができます。投資信託の自動積立もこの方法のひとつです。

図1は、ドルコスト平均法で投資信託を購入した試算です。スタート時に1万円投資し、基準価額は2か月目に8,000円、3か月目に6,000円、4か月目に7,000円、5か月目に8,000円と基準価額が推移した例です。基準価額が下がった分、1万円で購入できる口数はそれに応じて多くなります。図1のケースでは、毎月1万円ずつ投資していた場合、5か月目のトータル購入口数は約6.595口となります。トータル口数に直近の価格である8,000円を乗じて、評価額は約52,762円となります。1万口当たりの平均取得金額は約7,581円です。このケースの場合、ドルコスト平均法で投資していれば、購入時の価格に戻っていなくても3,000円近い利益を得ることができました。一方、1ヶ月目に5万円をまとめて投資した場合は、基準価額が8,000円となり最終的に2割の減少ですから、5か月目の評価額は4万円になってしまいます。

図1 投資信託を定量法と定額法(ドルコスト平均法)で投資した場合の試算
5か月間運用した例 定量法 定額法:ドルコスト平均法
投資金額 39,000円 50,000円
評価額 40,000円 52,762円
評価損益 1,000円 2,762円
5か月間の平均取得単価 7,800円 7,581円

投資信託は1万円程度の少額から投資できる点がメリットです。さまざまな資産に投資する投資信託なら、分散効果を得ながら、少ない資金でも積立投資することが可能です。東海東京証券の『ファンド・ツミタテ(定期買付)』は、原則1,000円から購入でき、ドルコスト平均法を活用しながらコツコツ資産を増やしたい方に適した商品です。まとまった資金が必要なイメージが強い個別の株式でも、毎月少額ずつ購入する「株式累積投資」という方法があり、企業の成長の果実をダイレクトに受け取りたい方にはおすすめです。

ドルコスト平均法は価格に関係なく常に一定量を購入するよりも、全体の平均購入単価を平準化させる効果があります。ただし、すべての局面で有効な手段でないことも理解しなければなりません。著しい高値で買ったり、反対に安値で売ったりすることを防ぐ方法としては、有効な手法といえるでしょう。図2は2007年1月から14年11月まで毎月1万円、累積投資総額95万円を日本株式(日経225)に投資した場合の試算です。95万円を一括投資した場合の時価は、14年の11月時点で約92万3,000円となりました。一方、毎月1万円投資したケースでは、相場の下落局面で口数を多く購入できたため、同月の時価評価は約143万円に達します。この7年に限って積立投資をした場合は、一括投資に比べ約50万円の収益を受け取ることができました。長期投資におけるドルコスト平均法の有効性が示された一例です。

図2 日経225に積立投資した場合と一括投資した場合の比較(月次データ:2007年1月~2014年11月)
出所:ブルームバーグのデータを基に、東海東京証券作成

価格の変動はさまざまな要因によってもたらされるため、相場の上げ下げを的確にとらえることは非常に難しいといえます。ドルコスト平均法を活用すれば、投資初心者の方でもリスクを抑えながら安心して投資ができるでしょう。

魅力高まる配当・株主優待

株式投資の魅力のひとつである配当と株主優待でも、長期保有のメリットが高まっています。2006年度以降の配当金総額推移(全産業)によると、世界的な金融危機の引き金となったリーマンショックの影響から配当金が減少した09年度を境に右肩上がりで増加し、13年度は約6.7兆円の配当金が支払われました。国内では、12年末に掲げられた経済政策アベノミクスの効果から輸出企業や製造業を中心に業績が回復基調にあり、ROEを経営目標に挙げる企業が増加していることから、14年度以降も配当金総額の増加が期待されます。

配当金総額の推移(全産業)(年次データ:2006年~2013年)
出所:東京証券取引所 2013年度決算短信集計[連結]より東海東京調査センターのデータを基に、東海東京証券作成

株主優待は、企業が株主の持ち株数に応じて自社製品や優待券、カタログギフトなどを提供するものです。株主優待を受けるには、企業が定める株数を保有し、配当などの権利を与えられることが確定する「権利確定日」までに株主になっていることが必要です。企業のなかには、1年以上、3年以上など長期保有株主向けの株主優待制度を設ける企業もあります。こうした企業では通常の優待に加え、保有期間に応じた特典の上乗せが受けられます。株式を長期保有するメリットといえるでしょう。また、企業の社会的責任(CSR)への関心の高まりから、社会貢献団体などへの寄付を株主優待の選択肢として組み入れる企業もあり、株主の優待活用方法も増えています。

株主優待検索」では、優待内容にカテゴリごと、権利確定月ごとで株主優待銘柄を検索できます。

日本国内では、アベノミクスを契機に株価の上昇トレンドが続いています。この時流を生かし、長期保有による株式投資のチャンスを広げましょう。

長期保有することで特典が受けられる企業もあり、長期投資がますます楽しくなりますね。