知って安心!相続の知識

失敗しない生前贈与

財産を相続発生の前に贈与します。
贈与税の負担税率が、相続税の適用税率を下回る場合に有効な方策です。
ここでは、生前贈与を活用する上で必要な3つの知識を学びましょう。

贈与税のしくみ

暦年課税

暦年課税とは、少額の贈与を長く行うことで相続財産を減額することができる課税方式の一つです。
生前贈与を相続対策として使う場合には、とても有効です。

特徴

  1. 1.1月1日から、12月31日までの1年間に、贈与を受けた財産が対象です。
  2. 2.年間110万円(基礎控除額)以下の贈与なら非課税で、110万円を超えた部分が、贈与税の課税対象となります。
  3. 3.特例贈与として、18歳以上の子・孫への贈与は軽減が図られています。
[年間の贈与財産 - 基礎控除110万円] × 税率 - 控除額 = 贈与税額

贈与税の税率

(単位:万円)

基礎控除
課税価格
【特例贈与】
18歳以上の子・
孫等への贈与
左記以外の贈与
税率 控除額 税率 控除額
(超) (以下)
200 10% 10%
200 300 15% 10 15% 10
300 400 15% 10 20% 25
400 600 20% 30 30% 65
600 1000 30% 90 40% 125
1000 1500 40% 190 45% 175
1500 3000 45% 265 50% 250
3000 4500 50% 415 55% 400
4500 55% 640 55% 400

贈与税額の一覧

(単位:万円)

基礎控除
贈与金額
①特例贈与
(実行税率)
②左記以外の贈与
(実効税率)
100 0.0 0.0% 0.0 0.0%
200 9.0 4.5% 9.0 4.5%
300 19.0 6.3% 19.0 6.3%
400 33.5 8.4% 33.5 8.4%
500 48.5 9.7% 53.0 10.6%
600 68.0 11.3% 82.0 13.7%
700 88.0 12.6% 112.0 16.0%
800 117.0 14.6% 151.0 18.9%
900 147.0 16.3% 191.0 21.2%
1,000 177.0 17.7% 231.0 23.1%
2,000 585.5 29.3% 695.0 34.8%
3,000 1035.5 34.5% 1195.0 39.8%
4,000 1530.0 38.3% 1739.5 43.5%
5,000 2049.5 41.0% 2289.5 45.8%

生前贈与の相続対策効果

例) 子2人と孫2人の合計4人に5年間、生前贈与し、その後相続が発生した場合の比較
子2人と孫2人の合計4人に5年間、生前贈与し、その後相続が発生した場合の比較図

※上記シミュレーションでは相続時の生前贈与加算は考慮していません。

相続税対策として、暦年贈与を検討する場合には…

財産額を把握し、将来の相続税を予想することを出発点として、適正贈与額を見極めることがポイントになります。

たとえ、贈与税はかかっても、将来の相続税と贈与税との合算の納税負担額と、何もしないで相続税を支払う場合の納税負担額との比較をして、贈与が有利なところを選択することが有効です。

基礎控除額範囲内での贈与も効果はありますが、贈与税を支払っても相続税と合算で考えて、有利となる贈与額の見極めが重要です。

贈与の注意点

ここでは、生前贈与を相続対策として活用する上で気をつけるべき2つの注意点について解説します。

生前贈与加算

相続財産を取得した人が、相続開始前7年以内(2023年以前の贈与は相続開始前3年)に被相続人から受取った贈与財産がある時は、相続財産に加算して相続税が課税されます。

その際の評価額は、贈与を受けた時点の評価額が適用されます。

※1:贈与税の配偶者控除や住宅取得等資金の贈与、教育資金の一括贈与等の特例を適用した贈与財産は、相続財産へ加算されません。

※2:2024年以後の贈与は7年、2023年以前の贈与は3年

※3:相続時精算課税において、2024年以後の贈与から年間110万円の基礎控除が適用されます。

名義預金

贈与をしたつもりでも認められないことがあります。

名義預金とは、相続時に名義は子供、孫であるが、実態は被相続人のものではないかと税務署に指摘される場合があります。
この場合、相続財産として加算されることになります。

被相続人の財産と指摘されないように、ポイントをおさえた生前贈与をおすすめします。

チェックポイント

贈与の証拠を残す
贈与契約書、贈与税の申告
贈与後の財産管理は受贈者で
通帳等の財産管理、処分(解約・売却等)、利子・配当等収益の受領
目的に合わせた贈与方法と資産管理

贈与しても、もらった人がそのお金を何に使うかわからないので不安だという方もいらっしゃいます。

そこで資金の使い道をあらかじめ検討しておき、目的を持った贈与をしていくことが相続対策としては重要です。

証券口座を通じた贈与

証券口座(MRF)を通じた贈与を行い、
その資金で子等がNISA口座で投資
贈与資金の資産管理に証券会社を活用!

  • 贈与は、銀行から銀行への振込みか、現金を渡す方法をイメージされる方も多いかと思いますが、証券会社内での贈与も可能です。
  • 当社の場合、贈与契約書の概要は証券会社で作成しますので、日付や氏名等の重要箇所のみの記入と、捺印だけで、契約書の作成が可能となっております。
  • また、祖父母、父母から、孫や子にMRFを贈与することもできます。そうすることによって孫や子がNISAで運用することも容易となります。

上場株式を通じた贈与

”現金”や”MRF”を贈与するより、
おトクな場合も…

上場株式を贈与する時の評価方法には特徴があり、下記の4つのうち、一番低い価格が適用されます。

1.贈与日の終値
2.贈与日の属する月の終り値平均
3.贈与月の前月の終り値平均
4.贈与月の前々月の終り値平均

例)現金よりおトクになる場合

① B株式を3,000株(時価 450万円)を贈与する場合

② 現金で450万円を贈与する場合

それぞれの贈与税を計算すると、

となり、株式での贈与の方がおトクになります。

生命保険を通じた贈与

納税資金等の準備に相続時まで
しっかり管理して欲しい

贈与はしたいけど、子供が無駄遣いすることが心配な方の場合の対応方法として、お金の贈与を受けた子供が契約者となり、生命保険に加入する方法もあります。