知って安心!相続の知識

遺言書の活用

遺産分割で何より優先されるのは、被相続人の残した「遺言書」の内容になります。家族間の無用な争いを避けるため、自分の財産の分け方を自分で決め公式な遺言書を作っておくことは有効な対策です。
できれば家族と話し合い、全員が納得できる内容の遺言書を正式に作成しておくのが理想です。

遺言作成のメリット

遺言者(被相続人)にとってのメリット

  • 法定相続分とは異なる配分ができる
    >>> 相続する財産に差をつける事ができる
  • 相続人以外への財産の相続ができる
    >>> お世話になった人への財産分け・寄付
  • 特定の財産を指定することができる
    >>> 家業や自宅をスムーズに承継できる

相続人にとってのメリット

  • 相続争いを未然に防止できる
    >>> 遺産分割協議が不要となる
  • 相続手続きの負担軽減ができる
    >>> 戸籍謄本取り寄せ等の省略が可能
     (公正証書遺言の場合)・寄付
スムーズな相続手続き 争いの回避 自分の意思を伝える
公正証書遺言作成件数 家庭裁判所の遺言書検認件数

近年、遺言書を作成する人は増加しており、これはトラブル・争族についての関心が高まっていることの裏返しと言えます。

遺言書の種類

遺言書の代表的なものが、自筆証書遺言と公正証書遺言の2つです。各々の遺言書の特徴を理解しておきましょう。

種類 自筆証書遺言 公正証書遺言
作成方法 本人が全文を自筆
①日付
②氏名
③押印

①証書が立ち合い、本人が口述し、公証人が筆記する

②内容を確認し、本人・公証人・証人が署名・捺印

作成場所 自由 公証役場 等
証人(※1) 不要 必要(2名以上)
費用 掛からない 公証人手数料 等
検認(※2) 必要 不要
メリット
個人で自由に作成できる
証書不要
費用負担なし
内容を秘密にできる
紛失・偽造等の危険が少ない
文字が書けなくても作成可
公証人作成のため誤解を与える表現が少ない
デメリット
紛失・偽造の危険
内容の解釈で無効・紛争の危険
字が書けないと作成不可
費用が掛かる
証人が2名以上必要
内容を秘密にできない
※1 証人になれない人:未成年、推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族、公証人の配偶者・4親等内の親族・書記及び使用人(民法974条)
※2 検認とは:家庭裁判所が、遺言書の証拠保全・偽造・変造を防止するために、その証拠を残す手続きのこと。(有効・無効の判断はしない)

自筆証書遺言

全文を自書する必要がありますが、証人が不要なことと、費用がかからないメリットがあります。
比較的自由に作成出来るので作成しやすいが・・・
⇒ 記入相違があってもチェックできません。
また、紛失や偽造の恐れもあり、本人の意思等での紛争の恐れもあります。

公正証書遺言

各地にある公証人役場の公証人が作成する遺言書です。
信憑性は高いですが・・・
⇒ 公証人手数料が必要なこと、証人が2名以上必要なこと等がネックです。
⇒ 専門家にはこちらを勧められることが多いようです。