新NISAで確定申告は原則として不要!理由や例外、注意点などについて解説
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NISAとは「少額投資非課税制度」のことで「非課税」と付いていますが、確定申告ではどのような対応をすればよいか、悩まれている方もいるかもしれません。
原則としてNISAでは確定申告は不要ですが、例外やそのほか税金にまつわる注意点があります。そこで本記事では、確定申告が不要な理由や、確定申告が必要な2つのケース、確定申告の仕方などについて解説します。
原則としてNISAは確定申告が不要
原則として旧NISA、新NISAとも確定申告は不要です。
通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当金や分配金に対して約20%の税金がかかります。
通常の取引口座とは、特定口座と一般口座の2つに分かれます。また、特定口座はさらに「源泉徴収あり」、「源泉徴収なし」のいずれかに分かれています。
それぞれの口座で確定申告が必要かどうかをまとめると、次のようになります。
●特定口座(源泉徴収あり):不要※ ●特定口座(源泉徴収なし):必要 ●一般口座:必要 ●NISA口座:不要 ※確定申告を行うこともできます
NISAで確定申告が不要な理由
NISAの特徴として、運用益が非課税になることが挙げられます。そのため、確定申告の手続きは原則不要です。
そもそも確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間で生じた所得の金額、この所得金額に対する所得税などの金額を計算して確定させる手続きのことです。源泉徴収された税金や予定納税額などがある場合は、確定申告によってその過不足を精算します。
つまりNISAは運用益にかかる税金が非課税になるため、確定申告の手続きは必要ないというわけです。
NISAで確定申告が必要な2つのケース
NISAは確定申告が原則不要とお伝えしましたが、確定申告が必要となる例外があります。その例外とは、以下2つのケースなどです。
●配当金などの受取方法が「株式数比例配分方式」以外の場合 ●非課税保有期間終了後に課税口座へ払い出す場合
それぞれについてさらに詳しく説明します。
配当金などの受取方法が「株式数比例配分方式」以外の場合
NISA口座で配当金や上場投資信託の分配金を非課税で受け取るためには「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。
そもそも配当金や上場投資信託の分配金の受取方法は、主に以下の4つです。
株式数比例配分方式 | 保有残高に応じて証券口座で受け取る |
---|---|
登録配当金受領口座方式 | あらかじめ指定した金融機関口座で受け取る |
配当金領収証方式 | 配当金領収証をゆうちょ銀行などの窓口に持参して受け取る |
個別銘柄指定方式 | 銘柄ごとに金融機関を指定して配当金を受け取る |
株式数比例配分方式以外の受取方法を選択すると、NISA口座で買付した上場株式の配当金や、ETF、REITの分配金は課税対象となり、約20%の税率で源泉徴収されます。
課税対象となっても、確定申告が必須というわけではありませんが、「総合課税により配当控除の適用を受ける」、「申告分離課税で譲渡損失の損益通算や繰越控除をする」ためには、確定申告が必要になります。
このような点を考慮すると、NISA口座で配当金や上場投資信託の分配金を受け取る場合には、株式数比例配分方式を選択するとよいかもしれません。
非課税保有期間終了後に課税口座へ払い出す場合
旧NISAで運用を継続している方は、非課税保有期間終了に合わせて注意が必要です。
非課税保有期間など新旧NISAの特徴を確認してみましょう。
項目 | 旧NISA | 新NISA | ||
---|---|---|---|---|
つみたてNISA | 一般NISA | つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
制度の併用 | 不可 | 可能 | ||
年間投資枠 | 40万円 | 120万円 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有限度額 | 800万円 | 600万円 |
1,800万円 (そのうち成長投資枠が 1,200万円) |
|
非課税保有期間 | 20年 | 5年 | 無期限 | |
対象商品 | 金融庁の基準を満たした投資信託に限定 | 上場株式、投資信託等 | 金融庁の基準を満たした投資信託に限定 | 上場株式、投資信託等 |
出所:金融庁・投資信託協会をもとに東海東京証券作成
旧NISA口座で買付した商品は非課税保有期間が終了するまでは非課税で運用可能ですが、非課税保有期間終了後も引き続き運用したい場合は、一般口座や特定口座へ払い出す必要があり、一般口座や特定口座は課税対象であることに注意しなければいけません。
確定申告とは
会社員の方は、そもそも確定申告とはどのようなものかをあまり知らないかもしれません。確定申告が必要となる税金としては、所得税や消費税など種類があります。ここでは所得税の確定申告の流れや必要な書類などについて簡単に説明します。
確定申告の流れ
確定申告の流れは以下の通りです。
①必要な書類をそろえる
②確定申告書を作成する
③確定申告書を提出する
④所得税を納付する
① 必要な書類をそろえる
まずは、確定申告で必要な書類をそろえます。具体的に必要な書類とは以下の通りです。
●確定申告書 ●源泉徴収票などの収入がわかる書類 ●生命保険料控除証明書などの控除を受けるために必要な各種証明書 ●マイナンバーがわかる書類 ●金融機関の口座情報
② 確定申告書を作成する
続いて、確定申告書を作成します。作成方法は主に4つあります。
●確定申告書など 作成コーナーで作成 ●確定申告ソフトで作成 ●手書きで作成 ●税理士などへ依頼し作成
③ 確定申告書を提出する
続いて、確定申告書を提出します。提出方法は以下の4つです。
●e-Tax ●税務署の窓口へ持参 ●税務署の時間外収集箱へ投函 ●郵送
税務署で推奨されている方法は、e-Taxを使って電子申告する方法です。基本的に土日祝日も含めて24時間いつでも提出可能なため、利用者にとっても便利な機能です。
マイナンバーカードや、カードリーダーあるいはマイナンバーカードの読み取りに対応したスマホ、利用者識別番号、パスワードがあれば、電子申告が可能です。
初めての電子申告の場合、開始届出書を提出して利用者識別番号などを受け取る必要があり、やや複雑に感じるかもしれませんが、2回目以降慣れてしまうと便利に感じるでしょう。
④ 所得税を納付する
確定申告を行うと納税額が決まります。
納税することになった場合の主な方法は以下の通りです。
●税務署の窓口や金融機関の窓口での現金納付 ●指定した口座からの口座振替納付 ●e-Taxでの電子納付 ●クレジットカードでの納付 ●スマートフォンアプリでの納付
それぞれ、支払うことができる金額の上限や手数料の有無などが異なるため、詳しくは国税庁のサイトを確認して、ご自身にあった方法を選択しましょう。
また、確定申告をおこなった結果、還付となることもあります。
税務署の事務処理の混雑具合によって異なりますが、およそ1~2か月程度で還付金があらかじめ自分で決めた銀行口座に振り込まれます。
税金にまつわるNISAの注意点
税金にまつわるNISAの注意点として3つ挙げられます。
●非課税保有期間が終了すると課税口座に移管される ●NISA口座とそのほかの口座での損益通算はできない ●扶養控除や配偶者控除に影響しない
それぞれについて詳しく説明します。
非課税保有期間が終了すると課税口座に移管される
2023年末までの旧NISAを利用していた方は、2024年以降の新NISAが開始された後も、旧NISAの非課税保有期間が終了するまでは、旧NISA口座の中で継続して資産を保有し続けることができます。
ただし、非課税保有期間が終了すると自動的に課税口座に移管されてしまうことに注意が必要です。課税口座に移管されるということは、利益や分配金などの運用益に通常通り税金がかかるということです。
NISA口座とそのほかの口座での損益通算はできない
損益通算とは、同一年内で発生した利益と損失を相殺する(利益から損失を差し引く)ことで、税金がかかる所得を減らすことができます。
しかし、NISA口座で上場株式などを譲渡した際に生じた譲渡損失額はないものとみなされるため、NISA口座以外の口座で生じた譲渡益と損益通算することはできません。
扶養控除や配偶者控除に影響しない
扶養控除や配偶者控除の判定には、対象者の合計所得金額が含まれますが、NISA口座での運用益は合計所得金額の対象ではありません。
そのため、配偶者や子どもがNISA口座で利益を得ても、扶養控除や配偶者控除の判定に影響は与えません。
まとめ
本記事では、NISAで確定申告が不要な理由や、確定申告が必要な2つのケース、確定申告の仕方などについて解説しました。
2024年からの新NISAでは、制度が大幅に見直され大変魅力を感じる方もいるでしょう。この機会に、新NISAについてさらに詳しく知りたい方は、NISAセンターの公式YouTubeで制度の解説や投資系インフルエンサーのインタビュー動画などさまざまな コンテンツを発信していますので、ぜひ視聴してみてください。
NISAセンター公式YouTube
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