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2026.05.08

日本の金融資産の実態から考える、これからの資産形成

  • #金融資産
  • #資産形成
文/NISAセンター 伊藤慎一
目次

    人生100年時代と呼ばれる現代において、「老後2,000万円問題」が指摘されている中、将来に向けた資産形成に不安を抱いている方も少なくありません。
    「周りの人は実際どれくらいの金融資産を保有しているのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。

    本記事では、日本の金融資産保有額の実態を踏まえたうえで、これからの時代に備えた資産形成の方法をご紹介します。

    金融資産保有額の平均はどのくらい?

    金融広報中央委員会が実施している「家計の金融行動に関する世論調査(2025年版)」によると、金融資産を保有している世帯と保有していない世帯を合わせた総世帯の2025年金融資産保有額の平均は、1,600万円となっています。

    この数値は、日本全体の現状を把握するうえで参考となる指標ですが、一方で、一部の高額な金融資産を保有する世帯が平均を押し上げている側面もあります。

    金融資産保有額の「中央値」は500万円

    金融資産保有額の平均が1,600万円と聞くと、「多くの家庭がこれくらいの資産を保有しているのか」と感じる方もいるかもしれません。
    しかし、同じ調査で示されている中央値は500万円となっており、平均との間には大きな差があります。

    中央値とは、全データを小さい順に並べたときに中央に位置する値のことです。つまり、調査対象となった世帯の半数は、金融資産保有額が500万円未満ということになります。

    なぜ平均と中央値の間にこれほど大きな差が生じるのでしょうか。
    これは先述したとおり、一部の高額な資産を保有している世帯が平均値を押し上げているためです。そのため、多くの方にとっては、平均よりも中央値のほうが実感に近い指標だと言えるでしょう。

    年齢別の金融資産保有額の平均・中央値

    世帯主の年齢別の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)の平均と中央値は、以下のようになります。

    年代 平均 中央値
    20歳代 318万円 50万円
    30歳代 898万円 200万円
    40歳代 1,339万円 361万円
    50歳代 1,668万円 500万円
    60歳代 2,301万円 1,000万円
    70歳代 2,117万円 1,000万円

    表からもわかるように、年齢が上がるにつれて金融資産保有額は増加する傾向があります。長期にわたる収入の積み重ねや昇給、資産運用の成果に加え、60代以降では退職金の受け取りが大きく影響しているためと考えられます。

    とはいえ、中央値に目を向けてみると、多くの方が定年退職を迎える年代である60代においても、金融資産保有額は1,000万円にとどまっています。
    このことから、少なくとも半数の世帯において、老後の生活に必要といわれている2,000万円という資産額に達していない現状がうかがえます。

    世帯類型別の金融資産保有額の平均・中央値

    世帯類型別の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)の平均と中央値は、以下のとおりです。

    年代 平均 中央値
    世帯主のみ 919万円 130万円
    世帯主夫婦のみ 2,145万円 1,000万円
    世帯主夫婦と子のみ 1,737万円 700万円
    世帯主夫婦と親のみ 2,688万円 1,400万円
    その他・類型不能 1,905万円 312万円

    金融資産保有額が最も多いのは「世帯主夫婦と親のみ」の世帯で、次いで「世帯主夫婦のみ」の世帯となっています。ここでいう「世帯主夫婦のみ」とは、子どもを持たない夫婦や、すでに子どもが独立した後の夫婦を指します。
    これらの世帯では、養育費や教育費など、子どもにかかる支出が抑えられるため、貯蓄や資産運用に回せる金額が多いと考えられます。

    一方で、「世帯主夫婦と子のみ」の世帯では、子どもの養育費や教育費が大きな支出となることから、相対的に金融資産保有額が少なくなる傾向があります。

    保有している金融資産の種類は?

    自身が保有している金融資産の内訳が、一般的な傾向と比べてどうなのか、気になる方もいるのではないでしょうか。
    ここからは、日本の世帯において、どのような金融資産を、どのような割合で保有しているのかについて、資産の種類別に詳しく見ていきます。

    最も多いのは預貯金

    種類別の金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)の平均は、以下のとおりです。

    金融商品 平均
    預貯金 621万円
    定期性預貯金 309万円
    金銭信託 17万円
    生命保険 174万円
    損害保険 32万円
    個人年金保険 89万円
    債券 64万円
    株式 351万円
    投資信託 187万円
    財形貯蓄 25万円
    その他金融商品 38万円

    金融商品のなかで最も多く保有されているのは預貯金となっています。「貯蓄から投資へ」という流れが叫ばれているものの、金融資産全体に占める預貯金の割合は、依然として高い水準にあります。

    これからの時代に備えた資産形成とは

    これまでのデータから、老後に必要といわれている2,000万円を十分に用意できていない世帯が少なくとも半数を占めていることがわかりました。
    また、日本全体の金融資産の内訳を見ると、預貯金の占める割合が高いという特徴があります。

    預貯金は安全性の高い資産である一方、物価の上昇局面においては、実質的な資産価値が目減りするリスクがあります。とくに、物価高が続く昨今の状況では、預貯金のみでは将来の購買力を十分に維持できず、結果的に老後への備えが不十分になる可能性も考えられます。

    そのため、貯蓄だけでなく投資を組み合わせるなど、これからの時代に備えた資産形成の方法について考えることが大切です。

    初心者は「少額・長期・積立」が大切

    投資と聞くと、「まとまった資金が必要」というイメージを持つ方も多いかもしれません。実際には、さまざまな投資手法があるため、大きな金額を一度に投じる必要はありません。初心者の方は、まずは少額から長期積立投資を始めてみることがおすすめです。

    毎月一定の金額をコツコツ積み立てていく「積立投資」では、購入時期を分散することで価格変動の影響を抑えやすくなるというメリットがあります。また、運用を長期的に行うことで、時間を味方につけることが期待できます。まずは、無理なく継続できる金額から始めてみましょう。

    NISAを活用する

    NISA(少額投資非課税制度)は、投資で得た利益に対して、通常かかる約20%の税金が非課税となる制度で、値上がり益や配当金をそのまま受け取ることができます。
    こういった制度を活用することも、資産形成を進めるうえで有効な方法の一つといえるでしょう。

    NISAには「成長投資枠」と「つみたて投資枠」があり、両者を併用することも可能です。中でも、長期的な資産形成に適しているつみたて投資枠は、投資初心者の方も利用しやすい設計となっています。

    なお、つみたて投資枠については「新NISAのつみたて投資枠とは?ポイントや対象商品などを解説」にて詳しく解説しているため、参考にしてみてください。

    新NISAのつみたて投資枠とは?ポイントや対象商品などを解説

    貯蓄と投資のバランスを意識する

    投資は、あくまでも資産形成における選択肢の一つであり、貯蓄の役割が不要になるわけではありません。生活費や予備資金として一定の現金を確保しておくことは、家計の安定を保つうえで重要です。

    大切なのは、「すべてを投資に回す」といった極端な選択ではなく、貯蓄と投資を目的に応じたバランスで組み合わせることです。リスク許容度や目標とする金額は人それぞれ異なるため、自身にとって無理のない範囲で資産形成を進めていくことが、これからの時代に求められる姿勢といえるでしょう。

    迷ったら金融のプロに相談

    最適な資産形成の手段は、年齢や収入、家族構成、さらには将来の目標によって人それぞれ異なります。「結局何から始めればよいのかわからない」「より自分に合った資産形成プランを知りたい」という方は、金融の専門家に相談してみるのも一つの方法です。

    東海東京証券では、お客さま一人ひとりのライフプランに応じた資産運用の相談を承っています。専門の担当者が目標の実現に向けてサポートいたしますので、資産形成についてお悩みの際は、お気軽にご相談ください。


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