不公正取引について

金融商品取引は、自由・公正に行われるべきであり、人為的な相場形成が行われてはなりません。このため、金融商品取引の公正性確保、投資者保護の観点から、金融商品取引法では一般の投資者に不測の損害をもたらすような不公正取引を禁止しており、違反者には懲役や罰金といった重い罰則や処分が科せられています。

当社では、日々売買監視を行って金融商品取引法等で規制されている相場操縦的行為やインサイダー(内部者)取引等の不公正取引の排除に努めております。

1.当社の売買監視体制

当社では、「売買監視システム」等により相場操縦的行為等に該当するおそれのある取引を監視しており、当社の審査基準に抵触した場合には、不公正取引未然防止の観点からお客様に対しお電話等により売買動機等についてヒアリングさせていただき、取引形態の内容に応じて取引停止、注意喚起等を行っております。

具体的には、お客様の行為が相場操縦的行為等に該当するおそれがあり、再発を避けていただきたい場合等には注意喚起を行います。また、注意喚起後も改善の見られないお客様や、初めての行為であっても不公正取引に抵触する可能性が極めて高いと当社が判断した場合は、取引の全て又は一部を制限させていただくこともあります。

なお、取引等の内容によっては、関係取引所及び証券取引等監視委員会等に報告を行っております。当社口座での売買発注だけでなく他の証券会社口座でも相場操縦的行為等を行うなど、法令違反の疑いがあるお客様については、関係取引所との連携により、金融商品取引の公正性確保、投資者保護、さらに不公正取引の未然防止の観点から、当社における取引を制限させていただくこともあります。

2.相場操縦的行為について

「相場操縦的行為」とは、本来公正な需給関係に基づいて価格形成が行われるべき相場に人為的な操作を行い、市場における公正な価格形成を阻害する行為をいいます。なお当該行為は、他の投資者に対し誤解を生ぜしめる可能性があり、金融商品取引法等により禁止されており、違反者には刑罰や課徴金等の罰則が科されることになります。

(1)見せ玉

「見せ玉」とは、特定の株式の売買が繁盛に行われていると他の投資者に誤解させ、取引を誘引することを目的として、売買を成立させる意図がない大量の売買注文を発注する行為をいいます。

(2)仮装売買

「仮装売買」とは、特定の株式の売買が繁盛に行われていると他の投資者に誤解させ、取引を誘引することを目的として、同一人物が1社又は複数の証券会社を利用して、同一時間帯、同価格で売買両方の注文を発注(約定)する等、権利の移転を目的としない取引をいいます。

(3)馴合売買

「馴合売買」とは、特定の株式の売買が繁盛に行われていると他の投資者に誤解させ、取引を誘引することを目的として、売方と買方があらかじめ連絡や約束をしたうえで、同一時間帯、同価格で売買注文を行う取引をいいます(家族間口座、法人口座/代表者口座等を含みます。)。

(4)終値関与

「終値関与」とは、特定の株式の終値を高騰又は下落させるために、立会時間終了間際の発注により、直近価格よりも高い又は安い価格で終値を形成させる目的で行う取引をいいますが、大引けだけでなく、大引けまでの価格形成を行った取引等も監視の対象となります。

※立会時間終了間際や大引けの取引全てが違法な行為とみなされることではありませんが、継続的に終値や終値近辺の取引に関与し意図的に終値を操作する目的を持った取引は、不公正取引と判断させていただく場合があります。

(5)買い上がり(売り下がり)

「買い上がり(売り下がり)」とは、特定の株式の価格を意図的に高騰又は下落させ、他の投資者に誤解させ、取引を誘引することを目的とする行為をいいます。

(6)高値形成(安値形成)

「高値形成(安値形成)」とは、特定の株式の価格を高騰又は下落させることを目的として、当日の高値又は安値を付ける取引を反復もしくは継続し、または、複数日にわたり高値もしくは安値を付ける行為を繰り返すような取引をいいます。

(7)株価固定

「株価固定」とは、特定の株式の価格を意図する価格に固定することを目的として、一定の株価で上昇・下落を抑える発注・取引をいいます。

ある一定の価格帯に大量の買付注文や売付注文を発注又は約定させ、株価を維持させるような行為は、株価固定と判断させていただく場合があります。

(8)高関与率取引

「高関与率取引」とは、特定の株式の市場出来高のうちでお客様の取引数量の比率が高い取引(高関与)をいいます。

高関与率での反復継続した取引は、価格形成に与える影響が大きく、株価の意図的な上昇や下落又は固定等と判断させていただく場合があります。

相場操縦行為については、日本取引所自主規制法人がHPでFAQを紹介していますので、ご参照ください。
【日本取引所自主規制法人「相場操縦FAQ」】

3.「空売り価格規制」について

信用取引での新規売り(空売り)は、金融商品取引法等により「空売り価格規制」が設けられており、51売買単位以上の信用取引での新規売注文は「空売り価格規制」が適用されます。

なお、「空売り価格規制」は、空売りに係る銘柄が一定の水準(前日終値等から算出される基準価格から10%以上低い価格で約定が発生した段階)で規制が適用される「トリガー方式」となっております。

「空売り価格規制トリガ−抵触型価格規制」

空売りに係る銘柄について、前日終値等を基礎として算出される基準価格から10%以上低い価格で約定が発生した場合に「価格規制が適用」されます。

なお、価格規制が適用される期間は、規制の適用開始時点から翌日の取引終了時点までとなります。

また、重複上場銘柄等で主たる市場のみトリガー抵触となった場合は、主たる市場以外の市場では翌営業日のみ、取引が規制の対象となります。

○対象となる発注

(価格下降局面)
直近公表価格以下の価格による空売りが禁止となります。

(価格上昇局面)
直近公表価格を下回る価格での空売りが禁止となります。

(1)分割発注行為(空売り価格規制の潜脱行為)について

「空売り価格規制」を潜脱する目的で、本来は51売買単位以上の信用新規売注文を、意図的に価格規制が適用されない50売買単位以内の信用新規売注文に分割して発注した場合等においては、規制に抵触する取引に該当して価格規制の適用除外とならないだけでなく金融商品取引法の違反行為となります。

(2)「板寄せ時」の約定となる信用新規売注文について

寄付や引けで約定される発注形態(寄付条件注文、引け条件注文等/前場・後場を区分)において、1回の発注が価格規制が適用されない50売買単位以内であったとしても、複数の発注が結果的に「同時呼値」で約定となった場合で、合計数量が51売買単位以上となるときには、「空売り価格規制」違反となる可能性があります。

※発注時には、トリガーに抵触していなかった銘柄の信用新規売注文が、結果的にトリガーに抵触した後に約定した場合においても、「空売り価格規制」の対象となります。

(3)複数口座を利用した信用新規売注文について

1口座からの発注は1回につき50売買単位以内の信用新規売りであったとしても、発注タイミングや発注形態等から関係口座と推察され、合計数量が51売買単位以上となっている場合は、「空売り価格規制」を潜脱するための分割発注として、「空売り価格規制」違反となる可能性があります。

例えば、

  • ・他社口座を利用し、合計数量が51売買単位以上となる信用新規売
  • ・家族口座等を利用し、合計数量が51売買単位以上となる信用新規売
  • ・法人口座とその代表者(代理人)の個人口座等を利用し、合計数量が51売買単位以上となる信用新規売

※「空売り価格規制」に違反した場合には、30万円以下の過料が課される場合があります。

△「空売り残高情報」の取引所への報告

一定規模(発行済株式総数の原則0.2%)以上の空売りポジションを保有するお客様につきましては、約定日の翌々営業日の午前10時までに、「空売り残高情報」を証券会社を通じて当該執行取引所へ報告していただく必要があります。

・「空売りに係る有価証券借入決済の禁止」

増資等の公表後から新株等の発行価格決定までの間に空売り(信用新規売り)を行った場合、当該増資等に応じて取得した新株等により空売りに係る借入れの解消(現渡による決済)を行うことは禁止されています。

4.インサイダー(内部者)取引について

「インサイダー(内部者)取引」とは、上場会社等の内部情報に接する立場にある会社関係者等が、その特別な立場を利用して上場会社等の未公表の重要事実を知り、その情報が公表される前に当該上場会社等の株式等の売買を行うことをいいます。

このような取引が行われると、一般投資者との間に不公平が発生し、証券市場の公正性・健全性を著しく損なうため、金融商品取引法において規制されています。

また、会社関係者等から未公表の重要事実の伝達を受けた者(情報受領者)も規制の対象となります。

・内部者登録のお願い

当社では、インサイダー取引の未然防止を図るため、お客様が上場会社等の役員、使用人その他の従業員及び主要株主等、また、上場投資法人、その資産運用会社及び特定関係法人等の関係者に該当される場合、内部者登録のお手続きをお願いしております。

登録又は登録内容の変更等のお手続きが未了の場合は、至急、当社(口座開設部店)にご連絡ください。

なお、インターネット取引のサイト上では、内部者登録の変更及び削除はできませんので口座開設部店または、カスタマーサポートセンターまでご連絡ください。

インサイダー取引については、日本取引所自主規制法人がHPでFAQを紹介していますので、ご参照ください。
【日本取引所自主規制法人「インサイダーFAQ」】

5.「大量保有報告書」提出のお願い

上場会社の株式等について新たに発行済株式総数の5%超を取得した場合、また届出完了後に1%以上の変動等が発生した場合は、当該保有者ご自身が5日以内(土日祝日を除く)に大量保有報告書又は変更報告書を内閣総理大臣(金融庁長官)に提出することが義務付けられています。

なお、未提出となった場合は、金融商品取引法に違反することとなりますので、保有残高にご留意ください。

ご提出は、「EDINET」からお願いいたします。

(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム(EDINET))
http://disclosure.edinet-fsa.go.jp/

6.「役員又は主要株主の売買報告書」に関する留意事項について

上場会社等の役員及び主要株主は、金融商品取引法においてその職務や地位によって知り得た内部者情報を不当に利用して利益を得ることを防止することを目的として、以下の3つの義務が課せられています。なお、違反した場合には罰則(罰金)が科せられる場合があります。
※主要株主とは、総株主の議決権等の10%以上を実質的に保有している株主のことをいいます。


「役員又は主要株主の売買報告書」の提出義務(金融商品取引法第163条)

上場会社等の役員及び主要株主に該当するお客様は、当該上場会社等の発行する株式等の特定有価証券の売買を当社において行った際は、取引が成立(約定)した日の翌月15日までに、当社を通して「役員又は主要株主の売買報告書」を内閣総理大臣(金融庁長官)に提出していただく必要がありますので、担当営業員又はカスタマーサポートセンターまでご連絡ください。

「短期売買(6ヶ月以内)利益の返還」(金融商品取引法第164条)

上場会社等の役員及び主要株主が、当該上場会社等の発行する株式等の特定有価証券について、6ヶ月以内に買付け及び売付けを行い利益を得た場合には、当該上場会社等から、その役員及び主要株主に対して、売買によって得た利益を会社に提供するよう請求されることがあります。
(この規定は、職位又は地位により取得した秘密を不当に利用した取引の防止を目的としたものです。)

「保有有価証券を超えた空売りの禁止」(金融商品取引法第165条)

上場会社等の役員及び主要株主は、信用取引等を利用することにより、自ら保有している自社株式等の額を超えて売付け(空売り)を行うことが禁止されています。

7.「課徴金制度」について

制度の概要

課徴金制度は、内部者取引等の違反行為の抑止を図り、法規制の実効性を確保するという行政目的を達成するため、行政上の措置として、以下の違反行為をした者に対して金銭的負担を課す制度です。

制度の対象とする違反行為

  • (1)不公正取引(インサイダー取引、相場操縦(仮装・馴合売買、違法な安定操作取引等)、風説の流布又は偽計)
  • (2)有価証券届出書等の不提出・虚偽記載等(発行開示義務違反)
  • (3)有価証券報告書等の不提出・虚偽記載等(継続開示義務違反)
  • (4)公開買付開始公告の不実施、公開買付届出書等の不提出・虚偽記載等
  • (5)大量保有報告書等の不提出・虚偽記載等
  • (6)特定証券等情報の不提供等、虚偽等及び発行者等情報の虚偽等
  • (7)情報伝達・取引推奨行為

詳細は金融庁HP「課徴金制度について」をご覧ください