Mikiko Minami’s colum

第2回 南さんと証券投資のハナシpart1

◆南さんは証券投資の経験があるとのことですが、証券投資をはじめたきっかけを教えてください。

30代から40代にかけての20年近く投資をしていました。30代は株式投資中心、39歳で結婚し40歳で出産しましたが、40代で家庭を持ってからはMMFなどの投資信託に切り替えました。その理由は後程お話いたしますね。
投資をはじめたきっかけは母親のすすめです。母は早くに自分の父親を亡くしたため、独立心が旺盛で、お金の運用にも長けていました。母が証券会社の人と電話でよくやり取りしていたのを子供心にも覚えています。投資だけではなく、家の敷地にアパートを建ててアパート経営をするなど、今振り返ってみても、母の投資意欲、能力には敬服しています。私は学究肌の父親似で、いまだにお金の運用には全く自信がありません。でも、そんな私を投資の世界に誘ってくれたのは、ほかでもありません。私の母です。
30歳で務めていたテレビ局を独立し、フリーランスになりました。独立してから、3年ほどは事務所にも所属せず、知り合いのプロデューサーのご厚意に甘え、その方のデスクに電話を置かせてもらっていました。当時は「女子アナ」の独立が珍しく、今のように飽和状態ではありませんでしたから、営業をしなくても面白いように仕事が舞い込みました。

◆忙しく仕事をされながら証券投資をはじめたのですね。

独立した翌年には予定納税というものを初めて経験し、サラリーマン時代の収入を何倍かしてさらに0を付けたような収入を得るようになりました。そんな私を傍で見ていた母はこうアドバイスしてくれました。「フリーという身はいい時はいいけれど、仕事が途切れたら収入もゼロ。収入のあるうちにお金にお金を稼がせなさい。」と。自分が一生懸命働いた分が収入のすべてだと思い込んでいた私に母の言葉は衝撃でした。「お金がお金を稼ぐ」。すぐにはピンとこなかったのですが、母のアドバイスに従って証券会社に口座を設け、母親付の担当者を紹介してもらいました。世はバブルの時代です。大した知識と技量がなくてもたいていの株式は上がり、利益が上げられました。
当時私は「OH!エルくらぶ」という番組の司会を担当しており、相棒は作家の田中康夫さんでした。毎回スタジオにはさまざまな会社のOLの方々が約100名来てくれて、それはそれは熱気と活気にあふれた生放送のスタジオでした。
この番組のスポンサーに証券会社がついてくれていて、1時間半の生放送の一番最後に「OLのためのミニ投資講座」の様なコーナーがありました。「恋も仕事も思いのまま-そんな自己実現にお金は不可欠、そのためには投資をやるしかない!では、どんな投資先を選ぶべきか」そんな内容の話を毎回、証券会社の担当の方とテレビでしていたのが懐かしく思い出されます。まさに「乙女のお財布」のテーマを30年前に説いていたわけですね。感慨深いものがあります。

◆担当されていたテレビ番組で投資講座のコーナーがあったとは、投資と縁があるのですね。南さんはどのような株式に投資されていたのでしょうか?

バブルの時代なのでたいていの株式は上がるとお話しましたが、さすがに私なりの勉強はしたつもりです。例えば、番組に来てくださるさまざまな“企業の元気度”から推し量って、その会社の株式を買っていました。また、番組で企業紹介のコーナーがあるのですが、新規事業を紹介したり、知られていない事業の紹介があったり。それも参考のひとつにして、会社四季報などとも額を突き合わせていましたね。ちなみに銘柄は、トヨタ自動車・東芝・東京ガスなど、勢いがあり安定感のある企業の株式は軒並み買って利益を得ていました。
IRセミナーがある現在は恵まれていると思います。自分の目と耳で探し回るしかなかった時代でしたから。IRセミナーといえば、「乙女のお財布」では“IRツアー”を実施していましたね。私は第1回のIRツアーで講演させていただきました。

◆情報収集や企業研究をしっかりとされていたのですね。

スポンサーの証券会社は残念ながら今はもうありません。実は、その会社が手掛けた機器がありました。株式相場がテレビの画面ですぐにチェックできるというもので、私はそのCMにも出演させていただいていました。30歳を機に一人暮らしを始めた私の家にそれを備え付けて、毎朝株価をチェックするのが日課になっていました。スマホで瞬時にチェックできる今と違い、原始的といえば原始的ですが、当時としては画期的な機器で、毎朝画面を開くのが楽しみでした。
日経平均株価が40,000円に届く時代でもありました。NTTが上場すると聞いて慌てて買っても、ちゃんと利益が得られる時代でした。当時流行ったCMのキャッチフレーズが「24時間働けますか?」です。私はまさに当時の時代の申し子。がむしゃらに働き、株式につぎ込み、利益を得て、ものにつかれたように買い物に明け暮れ遊んでいました。

◆まさにバブルの時代ですね。

あのような時代はもう二度とこないかもしれませんが、ちょうど30歳で独立したばかりの時にバブルを謳歌できたのは有難い限りでしたし、本当に得難い経験をさせてもらいました。今の10代後半から20代初めの世代の方にバブルを懐かしむような風潮が芽生えているという話を聞きました。地球環境の問題もありますから、いきすぎた大量消費はいけませんが、大きな志を抱いてお金で夢を実現してゆくという考え方は尊重すべきだと思います。
“自分で得たお金で何かを買う”という狩猟本能にも似た人間の欲望を抑え込んでしまっては人生が小さくまとまってしまうような気がします。今は賃金の上昇も望めない時代です。それは私たちの業界でも同じで、バブルの時代と比べたら単価が下がったままの感もありますし、昔のようにすぐにタクシーを配車してもらえる時代ではなくなりました。

◆今の低金利の時代ではお金を殖やすことも難しいですよね。南さんは投資についてどのような考えをお持ちですか?

今の10代後半から20代の方々がブランド品に憧れ、それを何とかそれを手に入れようと人一倍頭を使ったり汗をかいたりすることは素敵なことだと思います。確かに投資環境は不透明です。大事な虎の子が一夜にしてふきとばないとも限りません。
しかし、相場は健在で利益を得ている人は確実に存在するのです。賃金の上昇が望めないなら、知恵を絞って投資を成功させ、自分の人生の穴をより大きく掘る。まだ若くて、自分の人生だけ考えればいい人には私はぜひ投資をお勧めしたいと思います。若い頃に投資を知った人とそうでない人では、お金に対する哲学が違うように思います。お金の大切さと可能性を切実に教えてくれるのが投資なんです。

~次回のコラムは南さんが結婚・出産後に経験された証券投資のハナシです。お楽しみに!~

ワンポイントアドバイス

-美容のワンポイント- 「手」をかける

日常生活で「手」の仕事ぶりが最も発揮されるのが美容だと思います。
クレンジングに手間と時間をかけていますか?洗顔はずぼらな「オトコ洗い」で済ませていませんか?化粧水はいい加減に片手ではたいていませんか?クリームは両手でまんべんなくつけていますか?ズボラでは決して肌美人にはなれません。お手入れとは日々の地道な積み重ねです。悪い習慣は今すぐ断ち切りましょう!美容において、肌を強くこすることは厳禁です。くすみやシミの原因にもなります。
クレンジングや洗顔はとにかくこすらず、優しく丁寧に。デリケートな目元などは片手で引っ張り上げながら、もう片方の手にコットンに馴染ませたリムーバーをつけてそっと優しく拭き取ります。こすったりひっぱったりすると瞼のたるみの原因にもなります。ポイントは必ず両手を使うことです。クレンジング剤を両手で顔全体になじませる。石鹸の泡を立てて、両手で包み込むように、なるべく肌に触れないように泡で優しく洗う。すすぎは何回も顔にぬるま湯をかけるようにする。
そして、化粧水は必ず両手でなじませます。目もと、口元、細かいところは指を使ってまんべんなく。全体にくまなくつけ終わったら、手のひらでふたをするように抑え込みます。クリームも同じ要領で、最後は手のひらでそっと抑え込みながら浸透させます。アイクリームなどは左(右)の指で優しく引っ張り上げながら、右(左)の薬指でしわに埋め込むように、こすらず叩くように塗る。その時、心の中で「キレイになあれ」とおまじないを唱えるとより効果的ですよ。
神様はより完璧な仕事が出来るように2本の手をくださいました。このことを忘れずに美容にも勤しんでくださいね。

profile フリーアナウンサーエッセイスト 南 美希子(みなみ・みきこ)

1956年、東京都生まれ。聖心女子大学国語国文科3年時にアナウンサー試験に合格し、テレビ朝日に入社。情報・クイズ・歌番組などを主に担当し、特に伝説のOL向け情報番組「OH!エルくらぶ」の司会を長年務め「元祖女子アナ」として広く知られている。
現在は、テレビ・ラジオをはじめ、エッセイストとしても活躍中。ビジネススキル、美容、恋愛、女性の生き方、ワークライフバランスなどをテーマに講演も行なう。