Mikiko Minami’s colum

第5回「仕事や人生との向き合い方について教えてください!」

◆仕事を長く続ける秘訣を教えてください。

仕事を始めて今年で41年目に入りました。
大学3年生の時にアナウンサー試験に合格し、大学を中退し、テレビ朝日アナウンス部に入局したのが1977年。9年弱のサラリーマン生活を経て、その後のフリーランス生活も30年を越えました。途中で結婚・出産を経験しましたが、休んだのは産前産後の2か月間だけ。全盛期の30代の頃に比べれば、現在の仕事量は細く長くといった状況ですが、40年以上の仕事人生、一度も休まず走り続けています。
私の年齢では既に定年退職した方がほとんどで、同年代の友人の中にも趣味を楽しみながらパートタイマーで好きな仕事をこなすといった方々が圧倒的に多いのですが、私は全盛期の30代の仕事量に一旦戻してから、70代半ばになったら少しずつ仕事量を絞っていくことを目標としています。とにかく目の黒いうち、身体が元気なうちは仕事人として全力疾走して人生を終わりたいと強く思っています。
「なぜ自分はこれ程までに仕事に駆り立てられるのか?」一言でいうと現在のこの仕事が好きで好きでたまらないからです。他人様に何かを発信させて頂くというこの仕事。日々、さまざまな分野の方々に出会えるこの仕事。しみじみ自分に合っていると思いますし、やりがいもあります。学生時代から希望していた職業に就け、40年以上経った今も同じ仕事を続けられているというのは大変幸運なことだと思います。
しかしながら、どんな仕事も傍で見ていると楽なように見えるかもしれませんが、楽な仕事なんてこの世の中に存在しません。「四六時中仕事が楽しくて仕方がない」などということもあり得ません。当然どんな仕事にも人間関係のややこしさが付きまといます。血の滲むような努力も必要です。
そうは言っても、縁あって巡り合った自分の仕事です。すぐにギブアップすることなく、現在の仕事が天職だと心得て、誰にも負けないようにスキルを磨き続けること。そうすれば自ずと周囲から評価され、やりがいも生まれます。長く仕事を続けるコツはそこにあるように思います。

◆仕事でストレスを溜めないために実践されていることはありますか?

「仕事でストレスが溜まったときはどのように解消するのですか?」と、よく聞かれます。疲れが溜まることはあります。そのような時は泳いだり、整体に行ったり、時には旅行をしたりしてリフレッシュします。しかし、ストレスが溜まったという状態は私にはないのです。当然、過度の緊張を強いられたり、仕事の上で人とぶつかりあったり、真っ当に評価されないと感じたりと、ストレスの元となるような事態にはしばしば見舞われます。しかし、自分の仕事を前に進めたいという思いがあまりにも強く、いわゆる障害さえもほとんど見えなくなってしまっているのです。あまりにも夢中で熱い思いで仕事にあたっているので、ストレスさえも吹き飛ぶという感じですね。
“その仕事にかける強いモチベーションは何なのでしょう?”若い頃は成功したいという一心でした。子供を持ってからは、「何とかこの子を一人前に育てたい。そのためには教育資金をはじめとして、躍起になって稼がないといけない」という、いわば背に腹は代えられない事情もありました。現在は勿論まだ学生である我が子のためという理由もありますが、還暦を過ぎて、今の仕事を通じて何か社会にお返ししたいという強い使命感のような思いもあります。その時々に常に強いパッションがあり、そのおかげでストレスが入り込む余地などないのです。
人生、漫然と生きても、情熱的に生きても、同じように時間は過ぎていきます。長いようで過ぎてみるとあっという間の人生です。だったら熱く目的意識を持って、悔いのない一生を過ごしたいと思いませんか?

◆充実した毎日を過ごすために心がけていることを教えてください。

毎日が充実しているかどうか。充実は誰か他の人がもたらしてくれるわけではなく、あなた自身が人生に充実をもたらす張本人なのです。たとえ恋人が出来て毎日がワクワクドキドキであっても、いつしか恋は醒め、ワクワクドキドキは消滅します。その度に恋人を取り替えますか?そんなことは不可能ですし、身が持ちませんよね。
自分の環境が恵まれている時もそうでない時も、自分自身が発光体であるかどうか。つまり自分自身が熱く燃えて生きているかどうかに全てかかってくるのです。
現状に不満があれば、思い切って現状を変えることも必要ですが、その現状の中で何を見つけ何を磨き続けるか?人の倍の努力では報われることはないかもしれません。でも人の10倍の努力をしたら、現状は必ずや動いていくはずです。現状を次から次へと変えることよりも自分自身の意識改革が何よりも大切なのです。

◆今後のために今からやっておくべきことはありますか。

来るべきライフステージでは、特に女性は子育て・介護という大役を一手に背負わなくてはなりません。そう考えると、女性が自分のことだけを考えて生きていける時期というのは案外短いものです。
遊べるときに目いっぱい遊ぶというのもいいかもしれませんが、この時期に自分磨きをしっかりしておくと、その後の人生の資産になることもあります。語学のスキルを磨く、得意な趣味を伸ばす、何か資格を取得するなどです。
結婚し子供を持ち一旦仕事から離れたとしても、自分の技能が身を助けてくれるということが考えられます。何せ、子供の教育には莫大なお金がかかります。そのためには自らの資産を運用して増やす事と同時に、自らの技能という資産をストックしておくべきだと思います。その上で勿論“お洒落を楽しみ、行きたいところに行き、食べたいものを食べ、欲しいものを買う”という享楽的な生活もエンジョイすべきだと思います。

ワンポイントアドバイス

-美容のワンポイント- アンチエイジング

先般、美容皮膚科学会で仕事をさせて頂き、ドクターたちの最新の知見にも多く触れてきました。そんな中で印象的だったのは、「美のカリスマ」として名高い、湘南鎌倉総合病院の美容外科部長 山下理絵先生の顔の老化に関するお話でした。
山下先生によると、顔の老化は5つの要因によって引き起こされるということでした。
①皮膚弾力の低下
②皮下組織の減少、下垂(痩せて貧弱になる箇所もあれば垂れてくる箇所もあるということです。)
③表情筋の衰え
④頭蓋骨の縮小
⑤靭帯の弛緩
これらをいかに食い止めるかということが老けない顔を作る方法なのです。
つまり弾力低下を防ぐには、日光に当たることにより引き起こされる光老化をできるだけ防ぐこと、皮膚の水分量も年齢と共に低下するので保湿を怠らないこと、同じような表情(特に悲しい顔や怒った顔)ばかりしないことも大切です。
骨は(なんと顔の骨も)年齢と共に縮小してくるので、頭の先からつま先まで骨の健康には注意が必要です。(矛盾するようですが、骨の健康には日光に当たることが大切です。当たることができないならば、ビタミンDをサプリ等で補うようにしましょう。)
ファンデーションの厚塗りはしわが増えるし、老けて見えるのでしないことです。必要に応じて、ヒアルロン酸やボトックスなどで、へこんだところに注入したり、シワをブロックしたりする美容医療も選択肢の1つかもしれません。

profile フリーアナウンサーエッセイスト 南 美希子(みなみ・みきこ)

1956年、東京都生まれ。聖心女子大学国語国文科3年時にアナウンサー試験に合格し、テレビ朝日に入社。情報・クイズ・歌番組などを主に担当し、特に伝説のOL向け情報番組「OH!エルくらぶ」の司会を長年務め「元祖女子アナ」として広く知られている。
現在は、テレビ・ラジオをはじめ、エッセイストとしても活躍中。ビジネススキル、美容、恋愛、女性の生き方、ワークライフバランスなどをテーマに講演も行なう。