投資信託買った後にすることは?

投資信託に限らず多くの金融商品は、一般にはまだまだ馴染みがなく、「買った後のイメージがわかない」「買ってはみたものの、どうしていいかわからない」という人も多いかもしれません。投資信託を購入した後に、何をすればいいのかを知っておきましょう。

基準価額をチェックしましょう

投資信託の基準価額は新聞や、投資信託会社や一部販売会社(証券会社や銀行など)、社団法人投資信託協会のホームページで調べることもできます。

基準価額をチェックするときのポイントは?

購入したときの金額と比較して、上がっているのか下がっているのかを見ます。
このとき単純に、「買ったときの基準価額」と比較しても良いのですが、厳密にいうと買ったときの基準価額と同じ価額で投資信託を換金すると、手取り金額はマイナスになってしまいます。ですから、「買った時の基準価額と手数料、消費税を合計した1万口あたりの金額」と比較しましょう。(換金する際には信託財産留保額も差し引かれますのでご注意ください)

【例】以下の条件で買った投資信託を現在の基準価額10,300円と比較するには…

買ったときの条件

基準価額:10,200円、購入口数:50万口、買い付け代金:510,000円
販売手数料:17,850円、消費税:1,785円、受け渡し代金:529,635円


529,635円 ÷ 500,000口 =1.05927円・・・1口あたりの金額
1.05927円 × 10,000口 =10592.70円・・・1万口あたりの金額

通常、基準価額は1万口あたりで表示していますので、比較しやすいように1万口あたりの金額を算出します。

結論

現在の基準価額10,300円で換金すると手取り金額はマイナスになることが分かります。
つまりこの場合、10,593円以上(信託財産留保額を考慮するならもっと高い値段で)換金しないと損失が出てしまいます。

  • * このシミュレーション条件になっている買い付け代金、販売手数料、消費税、受け渡し代金の計算方法は「投資信託を買ってみよう」をご覧下さい。

運用報告書をチェックしましょう

運用報告書とは、投資信託の運用開始後、決算期ごとに投資家に交付される報告書のことです。運用報告書の記載項目は法律によって定められており、投資初心者の方が読みこなすのは少々難しいかもしれません。まずは、次のポイントを押さえましょう。

運用実績・運用経過

基準価額は日々の新聞やインターネット等で確認することができますが、運用報告書の運用実績では基準価額を他の項目とあわせて確認することができます。(例えば、一定期間中の騰落率や分配金を全て再投資したと仮定した場合の基準価額など)

市場動向

その投資信託がなぜ値上がりしたのか、値下がりしたのかという要因が分かります。もし値下がりしていても、値下がりした要因が一時的なものであれば「このまま下がり続けるのではないか」という心配を解消することができます。

今後の見通し及び運用方針

その投資信託の運用を任せられている人(ファンドマネージャー)が、今後の経済環境をどのように考えており、どのように運用していこうと考えているのかが分かります。投資信託を購入した時から、運用方針が変わってしまっていないかを確認しましょう。

購入した投資信託の値下がりが気になる場合

せっかく購入した投資信託が値下がりしていることがわかれば、気が気じゃなくなってしまいますね。けれども慌てて対処すると、かえって損失を招くこともあります。落ち着いて対応しましょう。

購入した投資信託の値下がりが気になる場合(1)

運用報告書を確認した結果、しばらくすれば下落が止まり上昇に転じると考えられるならば、さらに追加で同じ投資信託を購入しておくこともできます。(追加型投資信託の場合)

【例】
1万口の投資信託を基準価額10,000円で購入し、その後基準価額が8,000円まで値下がりした場合。値下がりした要因はそろそろ解消され、基準価額が上昇に転じると考えられるなら・・・

対処法

基準価額8,000円でもう1万口買っておきます。総合して考えると、保有しているのは2万口で10,000+8,000円=18,000円出資していますから、平均すると1万口あたり9,000円で取得できたことになります。その後基準価額が10,000円に戻れば、(基準価額ベースでは)1,000円の利益が出ます。ただしこの方法は、これから上昇すると考えられる場合に有効であり、8,000円からさらに下落してしまうと損失が大きくなりますので、「現在の基準価額が下落している要因は何か?」をしっかり見極めてから追加購入する必要があります。

購入した投資信託の値下がりが気になる場合(2)

運用報告書を確認した結果、この投資信託を換金することはないけれど、やはり動きが心配ということならば、この投資信託とは連動性の低い金融商品を購入しておくと良いでしょう。もし、この投資信託が値下がりしたとしても、連動性の低い金融商品であれば同時に値下がりする可能性は極めて低いからです。

購入した投資信託の値下がりが気になる場合(3)

運用報告書を確認した結果、値下がりの要因が一時的なものではなく、この投資信託の運用方針では長期的にも利益を上げることが難しいと考えるのならば、損失が増える前に換金するというのも1つの方法です。

運用レポートを見てみましょう

運用報告書は法律で決められている通り、決算日にしか発行されません。投資信託の決算は「1年に1回」「半年に1回」「毎月決算」などさまざまですが、運用報告書は半年に1回発行されます。その間に活用したいのが「運用レポート」です。運用レポートは1週間に1回(週次)、1ヶ月に1回(月次)に発行されます。ただし、運用レポートは投資信託会社が自主的に作成しているものなので、発行されない投資信託もあります。運用レポートは各投資信託会社のホームページで確認することができます。

実践を通じて、知識を身につけよう

投資信託は、投資家を育てるという性格をもっています。運用報告書などを見ればなぜ基準価額が上がったのか、下がったのかが分かりますから、自然と金融経済の知識も増えていくはず。
「知識が無いから投資を始められない……」 と考える人もいるかもしれませんが、まずはやってみれば、だんだんとわかっていくものです。投資信託は少額から始められますから、実践を通じて知識を身につけるのに最適な商品といえるでしょう。