相続手続き:将来の相続に備えるために

C-4相続対策の基本

C-5現状の把握

どんな相続対策が必要かは、資産内容や家族構成、そして被相続人の希望によって違ってきます。法定相続人となるのは誰なのか。どんな財産があるのか。相続税が発生する可能性はあるのか。まずは現状を把握することからスタートしましょう。

法定相続人は?法定相続分は?

資産の種類と正味財産額は?

相続人の確認とともに、現時点での財産の種類と額を把握しておきましょう。プラスの財産とともに債務も書き出し、財産目録を作成します。プラスの財産から債務を引いた額が「正味財産額」です。財産目録は、遺言書作成や遺産分割協議の際にも、基本資料となります。

正味財産額は基礎控除額を超えている?

相続税法ではある程度の財産までは相続税がかからないようになっており、これを「基礎控除」といいます。正味財産額が基礎控除額より大きい場合には、相続税がかかります。

●基礎控除額の計算方法

※平成26年12月31日までの相続・遺贈に適用

基礎控除額 = 5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数

【例】夫が亡くなり、相続人が妻と子供2人だった場合 5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円

※平成27年以降の相続・遺贈に適用

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

相続税の特例

●小規模宅地等についての評価減の特例

被相続人の住居や事業用宅地については、一定条件のもとで評価額を減額する特例があります。

●配偶者についての税額軽減

配偶者の相続する財産が法定相続分以下、もしくは1億6千万円以下であれば、配偶者に相続税は発生しません。

【例】

遺産額 配偶者の相続分 相続税額
軽減
備考
ケース@ 1億円 1億円(100%を相続) 全額軽減 法定相続分を超えているが
1億6000万円以内であるため
ケースA 4億円 2億円(法定相続分
1/2を相続)
全額軽減 1億6000万円を超えているが
法定相続分以内であるため

※平成26年12月31日までの相続・遺贈に適用

※平成27年以降の相続・遺贈に適用

C-6遺産分割対策

家族間の無用な争いを避けるため、自分の財産の分け方を自分で決めるため、公式な遺言書を作っておくことは有効な方策です。できれば家族と話し合い、全員が納得できる内容の遺言書を正式に作成するのが理想。また生命保険や生存贈与を活用して、バランスのとれた遺産分割をめざすこともできます。

遺言書によるお手続き

遺言書の作成

遺言書作成によって可能になること

1.法定相続分とは異なる割合で、遺産分割できる 例:子供がいないので配偶者に全財産を相続させたい→遺言がないと、親・兄弟姉妹との遺産分割協議が必要となる

2.特定の財産を、特定の相続人に贈ることができる。 例:事業を継ぐ長男に事業用の財産を相続させたい→遺言がないと事業用財産を分割しなくてはならない場合も

3.相続人ではない人に財産を贈ることができる。 例:面倒を見てくれた嫁にも財産を渡したい→遺言があれば、相続人ではない嫁も財産を受継ぐことができる

遺言書の種類

民法で定められている遺言書の方式は「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」などがあり、これに則っていないものは効力がありません。

種類 自筆証書遺言
【本人が自筆で作成する】
公正証書遺言
【本人が口述し公証人が筆記する】
作成方法 【用件】
・本人が遺言の全文を自書すること
・日付
・氏名
・押印
1.証人立会いのもと、本人が内容を口述し、公証人が筆記
2.本人・証人が筆記の内容を確認し、署名・押印、公証人も署名・捺印
作成場所 自由 公証人役場
証人 不要 証人2人以上必要
家庭裁判所
の検認
必要 不要
特徴 【メリット】
・簡単に作成できる
・費用がかからない
・遺言書を書いたことを秘密にできる
【メリット】
・公文書であり、証拠力が高い
・紛失、偽造等の危険がない
・文字が書けない人でも遺言できる
【デメリット】
・紛失、偽造などの危険がある
・文章の解釈などをめぐってトラブルが生じ遺言の有効性が争われる原因になりやすい
・字が書けない場合には遺言できない
【デメリット】
・公証人の手数料等費用がかかる
・遺言書を書いたことを秘密にできない
・2人以上の証人の立会いが必要。

生命保険の活用

生命保険は特定の相続人を受取人に指定できるので、バランスのよい資産分割に活用できます。1人の子に自宅などの不動産を相続させる場合など、他の子には代償金として保険金を用意する、といった対策を立てられます。

生前贈与の活用

事業の承継など、法定相続分と異なる分割をしたい場合、贈与税の非課税枠を使って、相続発生の前に財産を移行させておくこともできます。また贈与税の配偶者控除を活用すれば、非課税で自宅の所有権を妻または夫に変更することが可能です。

C-7相続税軽減対策

家族のこれからの生活のために、少しでも多く財産を遺してあげたい。築いてきた財産が相続税というカタチで損なわれるのはつらい。相続税の軽減対策はいろいろありますが、大切なのは財産や相続人の現状と未来を考え、自分に合った方法を見きわめること。必要のない対策は、将来リスクになる可能性もあります。

生前贈与の活用

財産を相続発生の前に贈与します。贈与税の負担税率が、相続税の適用税率を下回る場合に有効な方策です。

(1)暦年課税

少額の贈与を長く行うことが可能。相続財産を減額することができます。

・年間110万円(基礎控除)以下の贈与なら非課税。 ・年間110万円を超えた場合は10〜50%の累進税率の贈与税。(平成26年12月31日まで) ・相続開始時、その前3年以内の贈与財産は相続財産に加算される。

特例 : 婚姻期間20年以上の夫婦間の居住用不動産贈与は2,000万円まで非課税。

●贈与税の計算式

贈与税額 = ( 課税価格 − 基礎控除110万円 ) × 税率 − 控除額

●贈与税の速算表(平成26年12月31日まで)

課税価格(基礎控除後) 税率 控除額
(超) (以下)
0 200 10% 0.0
200 300 15% 10.0
300 400 20% 25.0
400 600 30% 65.0
600 1,000 40% 125.0
1,000 50% 225.0

単位:万円

●贈与税額一覧表(平成26年12月31日まで)

課税価格(基礎控除後) 税額 実効税率
200万円 9万円 4.5%
300万円 19万円 6.3%
500万円 53万円 10.6%
800万円 151万円 18.9%
1,000万円 231万円 23.1%
3,000万円 1,220万円 40.7%
5,000万円 2,200万円 44.4%

なお、平成27年1月より、歴年課税制度内に「20歳以上の者が直系専属から受ける贈与」が新設され、贈与税が軽減されます。

●税率比較:速算表

税率比較:速算表

●贈与税額一覧表

贈与税額一覧表

(2)相続時精算課税制度

一度に多額の財産を贈与できます。相続財産を減額することはできませんが、相続税がかからない場合は、納めた贈与税は戻ります。

・65歳の親から20歳以上の子への贈与は2,500万円(特別控除)まで非課税。(※平成26年12月末まで) ・2,500万円を超える部分は、20%の贈与税がかかる。 ・相続時精算課税制度を適用した贈与財産は、相続時にすべて相続財産に加算される。

※平成27年以降、適用要件の見直しがあります。 贈与者:65歳以上の→60歳以上の親・祖父母 受贈者:20歳以上の子→20歳以上の子・孫

特例 : 一定の住宅取得等資金を贈与する場合、親の年齢を問わず相続時精算課税を適用できます。
※なお、この制度は平成26年12月31日までの贈与について適用される制度です。

(3)住宅取得等資金の贈与税の非課税制度

父母や祖父母など直系尊属からの贈与により取得した住宅取得等資金について、一定の要件のもと1,000万円までについて贈与税を非課税とする制度です。

・平成24年1月1日から平成26年12月31日までの贈与税の非課税制度。 ・父母や祖父母など直系尊属から20歳以上の子や孫等の直系卑属(合計所得金額2,000万円以下)への住宅取得等資金の贈与は一定額(平成26年は、省エネ等住宅:1,000万円、その他の住宅:500万円)まで非課税。 ・自己の居住用に供する住宅の新築もしくは取得または増改築等をした場合で一定の要件に該当するものが対象。 ・非課税枠の限度を超える場合の残額は、暦年課税または相続時精算課税のいずれかを適用できる。 ・非課税枠については、贈与後3年以内に相続が発生した場合でも相続財産に加算されない。

(4)教育資金の一括贈与等に係る贈与税の非課税措置[平成25年4月〜平成27年]

30歳未満の子・孫などの直系卑属の教育資金のために、祖父母、父母などの直系尊属が金融機関に拠出した金銭等で、受贈者1人当たり1,500万円までの金額の贈与が非課税となる制度です。

非課税財産の活用

生命保険金非課税枠の活用

生命保険金には<500万円×法定相続人の数>という非課税枠があります。非課税枠内であれば受取保険金は相続財産に加算されず、払い込んだ保険料の分だけ、相続財産を減らすことになります。

「契約者(保険料負担者)=被保険者」で支払われた死亡保険金を相続人が受け取った場合

非課税財産の例

墓地・墓石・仏壇などの祭祀財産は、非課税財産です。相続開始後の購入では非課税になりませんので、余裕資金があるなら生前に購入しておいた方が得策です。

相続財産の評価額を減らす

不動産の有効活用

遊休地にアパートなど貸家を建築すれば、更地よりも相続税評価が下がります。また建築費用の現金支出によって、相続財産を減少させることに。建築費用を借り入れる場合も、相続財産から債務として控除されます。さらに相続税資金として家賃収入を蓄えることも期待できます。

(1)土地:路線価または倍率方式

更地の評価 路線価の価格×100%
貸家建付地の評価 路線価の価格×[1-(0.7(借地権割合※)×0.3(借家権割合※))]
⇒約80%相当

※借地権割合等は地域によって異なります。

(2)建物:固定資産税評価額…概ね建築資金×約60%

貸家の評価 固定資産税評価額×[1-0.3(借家権割合※)]⇒約70%相当

C-8納税資金の準備

相続税は、原則10ヵ月以内の現金一括納付。遺された家族が資金繰りに困ることのないよう、納税資金が不足しているなら事前に対策を立てることをおすすめします。不動産資産が多い場合、納税のため相続開始後に慌てて売却するのは得策ではありません。早く対策を始めるほど、生命保険や資産の運用・売却などでじっくり備えることができます。

預貯金等の贈与

生前贈与の非課税枠を使い、預貯金や株債券などの金融資産の名義を変更して納税に備えておきます。

生命保険の活用

生命保険は家族の暮らしを守るだけでなく、相続時に現金で支給されるので、相続税資金の準備にも有効です。その上、被相続人が契約者である生命保険金には(500万円×法定相続人の数)という非課税枠があるので、相続税軽減効果も。また相続人が契約者・受取人となる場合では相続税でなく、受取人への所得税・住民税となり、これも相続税軽減対策になる可能性があります。

生命保険の加入パターン

保有資産の見直し

不動産の売却

財産構成で不動産が多く金融資産が少ない場合、売却して金融商品で運用するのも一策です。相続が発生してから急いで売却するよりも、じっくりタイミングを見きわめて現金化することができます。

物納資産の準備

延納でも現金での納付が困難な場合は、物納が認められることもあります。物納が認められるのは以下の財産です。ただし日本国内のものに限定されます。

不動産を物納する場合、実測面積や隣地との境界が不明確だと許可されません。物納の条件をクリアできるよう、早めに対策を立てておきましょう。

C-9相続関連サービス

ステップ1 営業担当者にご相談ください。

東海東京証券では、将来の相続に備えたアドバイスや相続発生時のサポートなど、資産継承に係るご相談にもお応えしております。まずは、お気軽に営業担当者へお問い合わせください。

ステップ2 ナレッジセンターが必要な対策をご提案します。

相続対策や事業承継対策にはさまざまな専門知識が必要です。東海東京証券ナレッジセンターでは相続を専門とするコンサルタントを配置しております。ひとつひとつ状況の異なる相続対策について、現状やご希望をしっかりとお伺いした上で、お客さまに必要な対策をご提案させていただきます。

ステップ3 専門家をご紹介いたします。

相続といってもお客さまの抱える問題はさまざま。それぞれの案件に対応するためにはそれらに適した専門家が必要となり場合があります。お客さまのご要望によって、税理士や司法書士、信託銀行や不動産関連業者など各種専門家をご紹介いたします。

東海東京証券ナレッジセンター

ナレッジセンターでは、東京と名古屋を拠点に経験豊富な財務アドバイザーを配置し、東海東京証券のお客さまを対象に相続・贈与等の資産承継や事業承継対策、証券税制などに関するご相談を承っております。また、税理士や司法書士、信託銀行など幅広い分野でのネットワーク体制を構築し、さまざまなお客さまのご要望にお応えする体制を整えております。ひとつの窓口から、あらゆる問題への解決策が見つかります。

[ご留意いただきたい事項]
金融商品にご投資いただく際には、各商品等に所定の手数料等をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格等の変動等による損失が生じるおそれがあります。商品ごとに手数料およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面等をよくお読みください。
上記の内容は一般的な説明を目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。上記の内容は平成27年4月末現在の各種制度をもとに作成しており、内容は将来変更となる可能性があります。税務・法務等の詳細につきましては、税理士、弁護士、司法書士等の専門家にご相談いただきますようお願いいたします。