物価物価指数の活用ポイント

それぞれの物価指数の特徴を知り、上手に活用しましょう。

消費者物価指数(CPI)の活用ポイント

  • 上方バイアス(実際の値よりも高い結果に偏ること)が生じやすいと言われています。
  • 消費者が日常生活で買うモノ・サービスの値段の動きを総合したものなので、世の中全体の物価動向を反映しているわけではありません。原油などの原材料の値段が上昇しても消費者物価指数に直接的な影響は現れません(間接的な影響は受けます)。
  • 標準的なモデル世帯(夫婦と子供2人)の物価動向を指数にしているので、個々人の実感(景況感)と異なる場合もあります
  • 消費者物価指数は厚生年金や国民年金などの公的年金の給付額に影響します。なぜなら、公的年金の給付額は物価動向を考慮して決められるのですが、その際に物価動向の基準として利用されるのか消費者物価指数だからです。

企業物価指数の活用ポイント

  • 「重複計算」に注意する必要があります。モノが生産されてから消費者が購入するまでの商品の流れは「生産者→1次卸→2次卸→3次卸→・・・・・・→小売」となっていますが、企業物価指数は、どの段階の価格を調査するかということが決められていません。商品の流れの中で企業間の取引が集中している段階の価格を調査しています。つまり、商品によってどの段階の価格が調査対象になっているのかが異なります。そのため、もし原材料価格が上昇し、値段が上乗せされた場合、商品の流れの各段階で原材料の価格上昇が何度も繰り返しカウントされることになります。これが「重複計算」です。

企業物価指数単独で使う場合は「重複計算」をさほど気にする必要はありませんが、消費者物価指数やGDPデフレーターと比較する場合は、企業物価指数のうち需要段階や用途別の指数を利用する方が良いでしょう。

GDPデフレーター活用のポイント

  • GDPデフレーターは下方バイアス(実際の値よりも低い結果に偏ること)が生じやすいと言われています(パーシェ算式を使っているため)。
  • GDPデフレーターを算出する際にもとになるGDPは「国内価格+輸出価格-輸入価格」という考え方に沿って作られているので、GDPデフレーターは輸出入価格の影響を受けます。例えば、輸入価格は上昇しているのに、国内価格に転嫁(上昇した分、価格を上乗せすることを)されていない場合は、GDPデフレーターは低下することになります。
  • 輸出入価格の影響などを受けやすいので、短期的に結果が大きくぶれることもあります。